就活のススメ
クリエティブの現場/クリエイティブが生まれる現場に潜入し、クリエイターたちの仕事ぶりを追います。先輩クリエイターたちの生の声から、仕事のリアルが浮かび上がります。
「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」/株式会社コナミデジタルエンタテインメントの代表作、2008年に世界中で大ヒットした『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』は、どのようにして生み出されたのか。同タイトルの制作に関わった、3人のクリエイターに集まってもらい、その舞台裏について聞いた。

プロフィール

レベルデザイナー

レベルデザイナー

「遊びや挑戦のあるものづくりにトライしたい」と、2005年コナミに入社。現在、各ステージやパートを担当するレベルデザイナー。

デザイナー

デザイナー

ゼロから建築物や世界観を創造できるところに魅力を感じ、ゲーム業界を目指す。2004年コナミに入社。現在、チーフアーティスト。

プログラマー

プログラマー

「CGの知識を生かしてゲーム作りをしたい」との思いから、2003年コナミに入社。現在はリードプログラマーとして活躍中。

まずは、『MGS4』での仕事内容について教えてください

METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS

デザイナー:デザインユニットで、背景制作のステージリーダーを務めました。全ステージの背景を統括するのがチーフであるのに対し、一部のステージを任され、管理・統括、デザインを行うのがステージリーダーです。

レベルデザイナー:僕はレベルデザイナー(※1)として、中東ステージと南米ステージの一部を担当しました。具体的には、各ステージの企画・演出を担当する、といったところでしょうか。仕様書を作ったり、スケジュールの管理などもします。

プログラマー:僕はプレイヤーの動きのプログラム設計・実装と、物理シミュレーションエンジンの設計・実装を担当しました。ええと……、それだけです(笑)。

デザイナー:「それだけ」って簡単そうに言いますが、彼のプログラム、すごいんですよ。プログラミングは説明の難しい、緻密な作業ですし。

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『MGS4』はどのようなワークフローで制作されたのでしょうか?

デザイナーが描いた背景ラフ。建物の骨格が緻密に描き込まれている

レベルデザイナー:まずは小島秀夫監督(※2)が作ったシナリオをもとにレベルデザイナーが担当ステージの企画を立てます。「こんな仕掛けがあるステージを作りたい」というイメージをどんどん膨らませ、イメージに近い場所の写真を集めたり、ラフを描き起こしたりします。そのようにして固めた〝遊び”と〝ビジュアル”のイメージをデザイナーに伝え、グラフィックに落とし込んでもらいます。

デザイナー:デザインの作業に取りかかる際は、もちろん新川アートディレクター(※3)が描いたイメージイラストも参考にしています。皆さんのアイデアやビジュアルイメージを、ゲームとして遊べる形にして背景にまとめるのが、背景制作の仕事ですね。

新川アートディレクターによるスネークのイメージイラスト。筆ペンで描かれた独特の雰囲気が特徴

レベルデザイナー:ほかにもレベルデザイナーは、プレイヤーの動きを考える作業も進めます。「このステージではこんな動きをさせたい!」というアイデアをまとめあげ、プログラマーに伝えるのです。

プログラマー:そのような流れなので、「レベルデザイナーとデザイナー」「レベルデザイナーとプログラマー」というセットで打ち合わせをすることが多いんです。

デザイナー:とはいえ、デザイナーとプログラマーも、よく話をしていました。『MGS4』では平和的な話し合いというよりも、バトルが多かったけれど(笑)。デザイナーとしては、少しでもリアルな背景やオブジェクトを作りたいんですが、そうするとプログラムがうまく作動しなかったり、プレイヤーがきちんと動けなくなることが少なくないんです。そこでプログラマーに相談するのですが……。

プログラマー:「仕様です」と言って突っぱねることもある(笑)。お互い最大限の努力をしながら常にせめぎあっているのが、プログラマーとデザイナーの関係なんです。そのせめぎあいがあるからこそ、より良いものが生まれるんだと思います。

※1 レベルデザイナー…欧米のゲーム会社ではよく見られる職種。日本でいうプランナーに近いが、各ステージや一部のパートのみを担当する点が特徴。

※2 小島秀夫…(株)コナミデジタルエンタテインメント専務執行役員。「小島プロダクション」を率いる。『METAL GEAR』シリーズのほか数々のヒット作を生む。2001年には、米ニューズウィーク誌の「未来を切り拓く10人」に選ばれたほか、国内外でさまざまな賞を受賞している。

※3 新川アートディレクター…『MGS4』のアートディレクター、新川洋司氏のこと。キャラクターやメカのデザイン、背景、オブジェクトなど、ビジュアル全般のディレクションを行う。

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『MGS4』の制作で、一番印象に残っていることを教えてください

デザイナー:制作を進めるうち、とあるツールを使ったワークフローにロスが多いことに気付きました。そこでレベルデザイナーとこっそり相談し、「より効率よく作業できるような共通フォーマットを作ろう」という話になったんです。みんなに内緒でいろいろ実験をして、「これは行けそうだ」と確信が持てた時点で上司やスタッフに説明したところ、そのフォーマットを採用してもらえました。正直、あのフォーマットがなかったら、『MGS4』からステージが2、3個消えていたんじゃないかと思います。

レベルデザイナー:『MGS4』からハードがPlayStation®3(※4)に変わったので、その影響が大きかったんでしょうね。他のスタッフみんなも職種の垣根を越えてPS3®に対応するため、必死に話し合いや工夫をしていたように思います。

※4 PlayStation®3…PlayStation®2に比べデータ容量が格段に大きくなった。『MGS4』の場合は、『MGS3』に比べ、約5倍のデータ量になったそう。また、高い技術力を要するため、制作は試行錯誤の連続だったという。

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小島プロダクションの魅力は、どんなところにあると思いますか?

プログラマー:誰でも意見を出せるというところですね。入社1年目でも自由に発言や提案ができるし、提案の内容が面白かったら「じゃあやってみたら?」と仕事を任せてもらえる。そのかわり発言には責任を持たなければいけないし、やるからにはいいものを作らないといけません。指示を待つようなタイプの人には向かないと思いますが、「やってやるぞ」という気迫がある人や積極的にアイデアを出せる人にとっては、とても面白い現場だと思いますよ。

デザイナー:それから、自分の体験がそのままゲームに反映されることが多いのも、小島プロダクションならではの特徴でしょうね。たとえば、以前『MGS4』の参考にするため南米に行ったときのこと。思ったよりも高低差の激しい土地で、僕を含めたスタッフが高山病にかかってしまい、ひとり、またひとりと倒れていっちゃったんですよ。そんな話を小島監督たちにしたら「それ、ゲームに入れよう」と言われ、冒頭のシーンに使われることになりました。

レベルデザイナー:ちょっとした雑談やふとした思いつきでも、面白ければ積極的に採用する。その姿勢が、ゲームの面白さにつながっているんです。

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ゲーム作りの面白さ、醍醐味について聞かせてください

デザイナー:自分が描いた絵の中で、キャラクターが動く面白さは、ゲームならではのものだと思います。特に自分がキャラクターを操作しているときは、なんともいえない楽しさがありますね。多くのスタッフが関わってここまでのものができたんだと思うと、とても感慨深いです。

プログラマー:僕も、2、3人では作れないゲームを作っているという点に面白さを感じています。『MGS4』は百人以上のスタッフによって作られたゲームなんですが、「百人以上の規模じゃないと作れない、百人以上の規模でこそ実現できるゲームを作っている」というのが醍醐味なのではないかと。スタッフの本気度も半端ではないので、やっていて充実感が味わえるんですよね。

レベルデザイナー:僕はスケジュールの管理もしているので、納期とクオリティのバランスに悩まされることが多いんです。だからといって小島監督に妥協案を出してしまうとものすごく怒られる。「『この仕様なら納期に間に合います』ではなく、『面白さをそのままに納期に間に合うようにした』、そういう努力をしなきゃダメだろう」と。そのこだわりは本当にすごいと思いますし、小島監督と関わることが、日々、勉強になっています。

各職種のデスクまわりを拝見
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ゲーム業界を目指す学生へ、アドバイスをお願いします

デザイナー:ゲーム業界で働くには、なによりも「ガッツ」が必要です。小島プロダクションの場合は、いいところまでできたものを「つまんないからやり直し」とひっくり返されることも多いんですが、そこでへこたれず、もっといいものを作らなければならない。ある意味、負けず嫌いな人が向いていると思いますね。

社員が休憩を取るためのコミュニケーションゾーン

レベルデザイナー:僕も同感です。どれだけ誠意を持って作品を愛せるか、自分の作ったものに責任を持てるかがすべてなんじゃないでしょうか。技術力は入社してからでも身につけられるので、まずは根性だと思いますよ。特に仕事が立て込んで疲れてくると、ついつい「これでいいや」という発想になりがちですが、「これでいいや」は絶対にダメ。自分が納得できて、さらにユーザーに対しても「これがいい!」と、自信を持てるようなアイデアや作品を追求してみてください。

プログラマー:あとは、仕事を楽しむことも大事ですね。「なんとなく」でできる仕事ではないので「どうしてもゲームを作りたいんだ!」という強い気持ちで来てほしい。ただし、自己満足に走らず、ユーザー目線で考えること。情熱と冷静さが必要です。

レベルデザイナー:どの職種でも、クオリティに対するこだわりは必須ですね。とことんこだわってユーザーを唸らせるような作品を出さなければいけません。皆さんも、あふれるガッツと熱い気持ちを持って、就職活動に全力で取り組んでください。

METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS

METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS

発売元:KONAMI 希望小売価格:3,990円(税込)

※価格は、現在発売中の「PLAYSTATION®3 the Best」版のものです。

世界各国で多数の賞を受賞。ハードの販売も大きく牽引。PS3®ソフト国内最高売り上げを記録し、今なおその記録を更新中。

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株式会社コナミデジタルエンタテインメント

株式会社コナミデジタルエンタテインメント

www.konami-digital-entertainment.co.jp/別ウィンドウで開く

事業内容 家庭用ゲームをはじめ、オンラインゲーム、アミューズメント機器、玩具、カードゲーム、携帯電話向けコンテンツなどの企画、制作、製造及び販売
設立 2006年3月
本社所在地 東京都港区赤坂9-7-2
株式会社コナミデジタルエンタテインメント

※PlayStation®3およびPlayStation®2は株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの登録商標です。
※iPhone、iPodは米国Apple Inc.の商標または登録商標です。

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